俺様とネコ女

6.コウside

18時を回った頃、やっと残務が片付いた。


あいつ、1人で帰れただろうか。今日何回あいつのこと考えただろう。なんでもない、ふとした瞬間に浮かんでは消えるあいつ。

もしかしたらまだ家にいるかもしれない。微かな期待を抱いて急いで家に帰ったが、道路から見上げた部屋は真っ暗だった。


あいつに渡した鍵は、俺の指示通りポストの中にあった。

真っ暗な部屋に入り電気をつけ、テーブルの上に紙切れを見つけた。

あいつの置き手紙か?手帳から1枚、破りとったようだった。その紙を手にとってソファーに座ると、ソファーの片隅に丁寧に畳まれた洗濯物があった。

あいつ・・・


ソファーの背もたれに体を預け、あいつからの手紙に目をやる。自分が笑顔になっているなんて、全く気づかなかった。
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