俺様とネコ女
もう一度盛大なため息を吐いた美咲に、私は、らしくない愛想笑いを浮かべた。


「こころー、どうしちゃったの?簡単にヤっちゃう子じゃないでしょ?」

「そう。なんだけど、」


我ながら説得力ない。

「こころのために、心を鬼にして言うよ。コウさん彼女いないって言ってたから、都合のいいセフレにされてない?」

「・・・やっぱり?」

「あの人絶対女に不自由してないでしょ。あんなにハイスペでかっこいいんだよ?こころ以外にもそういう関係の人いるんじゃない?」


美咲の、私のための言葉が無遠慮に突き刺さってズタボロだ。

「女の影はないんだ」


言って虚しくなる。ただ、あの殺風景な部屋に女性のものがなかっただけだ。

ただ、それだけ。
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