俺様とネコ女
「明日7時半に起こせ」

「起こしてってかわいくお願いして」

「お前ソファー行き決定」

「えっ、ごめん」

「しかも真っ暗」


もう言わなくても、暗いと寝られないってわかってくれている。コウは暗い方がいいのに、電気もつけてくれるつもりだったんだ。

底なし沼のように、キリがない”好き”のループ。


薄っすらと辺りを照らすオレンジの小さな光りの下。ベッドに入ってコウの腕まくらで眠りにつくなんて。


「なんかさ。眠いけど寝れない」

「俺は寝れる」


相変わらずスパっと話を終わらせてくれるけど、今至福のときである事実は変わらない。


「お前じゃれすぎ。マジでネコだな」

「にゃん」


思えば。この日最後の記憶は、この「にゃん」だった。 規則正しく胸が上下するのを感じ、仰向けのコウに甘えながら、触れ、同じ香りを放つ。

眠りに落ちる寸前、ふわりと頭にキスを落とされたような気がした。
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