俺様とネコ女
「山本君、上野ちゃん困らせないであげて。でもごめんね。今週末企画と飲み会なの」

うふうと笑う課長に、山本主任がえ?と大声。「え?え?」と言いながら、箸を握り締め、じんわりと額に汗をかきはじめた。

その横で、コウが私を見た。でもそれは本当に一瞬で、すぐ目をそらして大きなあくびをした。

「大きなあくび。赤澤くん寝不足?」

「そうなんですよ。ネコがじゃれてくるんですよ」

課長の問いに笑顔で答えたコウ。待って待って。悪趣味だよ、それ。


「赤澤くんネコ飼ってるの?」

「いや。最近ノラになつかれて。ニャーニャーよく鳴くネコで、寝かしてくれないんですよ」


せめて飼って。

てかさ、私を鳴かしてるの、コウでしょ。いつも余裕で、何枚も上手のコウにムカつく。ムカつくくらい好き。

悔しいけど、大好き。
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