俺様とネコ女
「こころちゃん確かにノリいいけど、俺はあの子が誰とでも簡単にヤる子には見えない。お前はそういう子だと思う?」

「思わない」


あいつはたぶん相当モテる。ヤりたいだけなら相手に不自由しないだろう。

そんな事より何より、あいつは俺と気が合う。ってことは、俺と同じだ。誰とでもって、そんな女じゃない。


「なぁ、寿司屋の噂の真相は?」

「金曜の夜あいつがうち泊まって、土曜休日出勤して帰ったら飯作ってくれてた礼の廻る寿司」

「お前が飯作れって言ったの?」

「いや。俺寝すぎて、ろくに会話もせずに家出たからそんな話一切してない」

直哉は、フ、と気が抜けたように笑い、組んでいた腕を解いてダラリと下に降ろした。


「好きじゃない男のために、頼まれもしない飯を作ると思うか?」


胸につっかえてたものが姿を消した。直哉の言ったことがもっともに思えた。
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