俺様とネコ女
「上野ちゃん、彼が推しの大沢くん。あの子顔もいいけど性格もいいって評判よ。赤澤くんは彼女いるみたいだし。ね?」


課長の推しメンの大沢くんって、直哉さんだったんだ。


「ね。失恋には新しい恋」


私は課長に遠慮気味に頷いた。直哉さんと話したい!

うふふと笑顔を浮かべ、すっと立ち上がった課長。


「大沢くん。ここ座って」

課長が立ち上がって作られた空席。 直哉さんは半ば強制的にそこに座らされた。


「はじめまして、大沢です」

「は、じめまして」


そっか。なんだか、すごくおかしな気分。


「何飲んでんの?」

「ウーロン茶です」

「マジで?」


声高に笑う直哉さんに内心ヒヤヒヤだ。せっかく女だらけの職場でうまくやってるんだから、お願いだからばらさないで。

でもそんなの無用な心配で、直哉さんは初対面のふりをし続けてくれた。
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