俺様とネコ女
直哉さんが連れて行ってくれたのは、駅に近い、細い路地に入ったところにあるこじんまりした、でもすごく雰囲気のいい居酒屋だった。


「この店で会社の人に会ったことないから飲んでも大丈夫だよ」

「直哉さんって、お酒弱いのにいいお店知ってるんだね」

「こころちゃんって息するみたいに毒吐くよね。男はプライドでできてるし、繊細だから気をつけてね」

生ビールとジントニックをオーダーしてくれた。


「わたし今まで自分よりお酒強い人に出会ったことなくてイキってたんだけど、コウには完敗。お酒だけじゃなくて、何もかも」

「何もかもって?」

「子ども扱いかネコ扱いしかしてくれない。酷いよね。私のこと女として見てくれてるのかな」

「そりゃ見てるでしょ」

「なんで?」

「なんでって、じゃなきゃヤんないでしょ」

「恥ず!コウしゃべったんだ!」


男同士の結果報告なのか、それとも他意がある報告なのか。
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