俺様とネコ女
「私のことダルいとか悪口言ってなかった?あー、やっぱりいい。言わないで」

乾杯もせず、目の前に置かれたばかりの生を飲む。そんな私を見る直哉さんの眼差しは柔らかで、温かい。


「直哉さん。ここのビール、泡がめちゃくちゃ美味しい」

「ん、よかった」


直哉さん包容力がある、笑顔は私のもやもやをふっとばしてくれる力がある。


「ねえ、これだけは教えて?コウってさ、私と同時進行で関係持ってる人いる?」

もしもいると言われたら終わりにする。 私はそういうの耐えられない。セフレがいるような男も大嫌いだ。

もしかしたら、コウがそんな男だと知った瞬間、気持ちが冷めるかもしれない。終わりにしよう。

フ、と笑った直哉さんは、私の髪の毛を一撫でした。

スルリと髪の毛を通り過ぎる指が、一瞬耳に触れたもんだから、直哉さんを初めて異性と意識した。
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