俺様とネコ女
「こころちゃん。あいつはそんな男じゃないよ」

「ほんとに?ウソじゃない?」


直哉さんに抱きつきたいくらい嬉しくて、少し座が高いカウンターチェアから飛び上がってしまった。それくらい、嬉しくて嬉しくて。


「こころちゃんも、この前言ってた祐樹のことなんか忘れて、コウに惚れてるんでしょ?」

「うん。コウに夢中。嬉しい」


顔は緩みっぱなしで、地に足着かないふわふわな夢見心地。浮かれすぎないように、直哉さんの上着の袖口をギュっと掴んだ。

優しすぎる直哉さんは、ポンポンと、私の頭を撫でてくれる。


「直哉さん、わたし今キモい顔で笑ってたらごめん」

「こころちゃんは可愛いよ」

「もー、嬉しすぎてヤバい」

「これ以上しゃべんないからね。後は2人でがんばって」

「今のだけで十分だよ。ありがとう」


コウの特別になれるかもって、特別になりたいって望んでもいい?
< 171 / 337 >

この作品をシェア

pagetop