俺様とネコ女
ちょっとからかってやるか。


「ここ、」名前を呼んで腕を捕まえて。椅子から立たせて抱きしめた。

マジで久しぶりだな、この感触。俺の腕にスッポリ収まって、絶妙にしっくりくる。


「ちょ、ちょっと、コウ?会社だよ?人来るよ?」

腕からすり抜けたここの視線がドアに注がれた。そんなことどうでもいい。人が来たなら見せ付ければいい。

お前は俺に集中しろ。


「誰も来ねえよ。スリルがあって興奮するだろ?」

「バカ。何言ってんの」


ジワリ、ここを壁際に追い詰めて。逃げ場を奪って、キスをした。からかうだけのつもりが、気付けば夢中で唇を貪っていた。

始めは頑なだったイチゴ味の唇も、俺が舌先で”あけろ”とつつくと従順に開いた。それなのに。


「コウ、だめ、もうやめよ」

うっとりした顔つきでドアを気にする。


「このシチュエーション、エロくていいな」

「もう。そういうプレイ?」


小悪魔が、妖艶に笑った。
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