俺様とネコ女
マジで。そんな顔すんな、襲いたくなる。俺お前が足りねんだよ。

クソ甘いイチゴ味のキスは趣味じゃないのに、それに惑わされるかのように誘われる。俺は虫か。昆虫か。小悪魔に挑発されたのが気に入らない。

逃がさないように後頭部に手を添えた。深く舌を差し入れて、アメを奪う。俺の襟元をキュっと掴んで、潤んだ瞳をしているくせに。


「赤澤さん、ダメですやめてください」

笑いながらごっこ遊びを楽しんでいる。

こういう切り返しで、こいつがいかに男慣れしてるかがわかりたくもないのにわかる。さぞ、恋愛経験が豊富なんだろう。イラつく。


「今度はお前が取れ」

口を開いて、舌の上に飴を置く。それを見て、笑ったかと思うと、俺の襟元をクイと引っ張る。なんの躊躇いもなく舌を滑らせてきて、あっという間に飴を絡め取った。


マジで気に入らない。お前の余裕を奪ってやる。
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