俺様とネコ女
「この前、朝降ろしたところ覚えてるか?あそこで待っててやる」

「おっけ」

喜んでいるような、はにかんだような表情で頷いたここを見ると、馬鹿みたいに嬉しくなった。

早く帰りたい。こいつと一緒にいたい。2人きりで過ごしたい。


「じゃあな」

「コウ、唇キラキラ、ヤバい」

手の甲で唇を拭うと、口紅が薄っすらと付いた。つい、舌打ちした。


「舌打ち酷いよ。自分からしてきたくせに」

「ここ、お前かわいい」


わざとらしくふくれっ面して怒るここを見ると、言うつもりのなかった言葉が、勝手にこぼれた。

お前といると胸が高鳴る。ふわふわと優しい、愛しさがこみ上げてくる。かと思えば、情欲のような激しい衝動も。


どうなってんだ俺。


なんだこれ。



どうにかしろよ。

< 186 / 337 >

この作品をシェア

pagetop