俺様とネコ女
「で?で?どんな仕事なの?」

「・・・営業」

「え、心配。コウみたいな男が営業?」

「ふざけんな」

「人材不足?」


コウが笑う。笑顔のまま美味しそうにグラスを傾けた。この人、こんな風に笑えるんだ。笑うとかわいい。


「お前おかしな女だな」

「ありがと」

「褒めてねぇよ」

「んー。わかるわかる。大丈夫」

「何がだよ。撤回。ウザいわ、やっぱ」

言い終わるころには笑顔が消え、おかわりを2杯、店員に告げた。



間違いなく人生で一番飲んだ。浴びた。煽ったと言った方が的確かもしれない。


ヤケ酒から始まった1軒目。そこで出逢ったムカつくイケメンに、奢らせてやろうと思った。それがいつの間にか、コウという名前しか知らない男と飲むのが楽しくなっていた。


そして。



人生で初めて、酔い潰れてしまった。
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