俺様とネコ女
「お前は映画が好きなんだろ?」

「わかる?こう見えて超インドア。スマホさえあれば何日でも引き篭もっていられるよ」

「根暗かよ。でも俺も映画は好きだ。最近は見る暇がない」

「そっか。忙しくて見れないんだね」

「ゴールデンウィークくらい休ませろ」


”1課はエリート集団。とにかく忙しい”社内の人間は、口を揃えてそう言う。


営業職は優秀な人材がやる仕事ではない。と大学の頃何かの文献で見たことがある。

専門性が磨けなくて、将来的に管理職になるための通過点と、明らかに営業を軽視したような内容の箇所もあった。ノルマがあって辛いとか、頭を下げ、媚びるようなイメージは確かにある。

でもコウを見ていると、全くそれと一致しない。話を聞く限り、仕事に誇りを持っている。


ごく稀に隣の部屋で見かけるコウは、いつもノーパソと向き合っている。1日の大半を外で過ごし、私が退社した後社に戻る。

私は癒し系には程遠いと自分でもわかってる。


それでも、全力で癒してあげたい。
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