俺様とネコ女
「いやなのかよ」

「えっ。やっ、ううん。いいのかなと思って」


俺は言葉に困り、返事をしない。どう言えばいいのか。どう言うべきか。

まだ出会って1ヶ月も経たないここの心の中に、違う男がいると思うと、言いたくない。

「好きだから、お前は特別だからいいに決まってるだろ」とでも言って、ここを抱き締めたら、俺らの関係は変わるのだろうか。



夕方、ここを乗せて、懐かしい街へ車を走らせる。明日から実家に帰るここは、俺の家に置いていた荷物を全部持って出た。


初めて見るここのマンションの下に車を止めた。


「入って」

「車にいる。駅まで行くから適当に降りて来い」

「なんで?ちょっとだけでも。せっかく送ってくれたんだから」

「いや」


歴代の男たちと過ごしていたであろう部屋は見たくない。しゅんとしたここには申し訳ないが、まさか嫉妬のせいだとは思っていないだろう。
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