俺様とネコ女
「ね、もっとして?」

「それ以上言ったら連れて帰る」


再び重ねた唇から想いをぶつける。できることなら、絡み合う舌で、ここの気持ちを引き出したい。

お前こそ。他の男のことなんか考えられなくなればいい。


「コウ。腰が砕けた。立てない」

「ばかネコ」


車から降りて助手席を開け、ここの腕を掴んで降ろしてやる。


「可愛いな」


素直に言ったのに、ネコに言うみたいに言わないでと拗ねられた。なんなんだ。

駅前の集団の中で、一人、こっちを見ている女がいた。見覚えがある。美咲だ。


「美咲が見てる」


まるで監視するように、俺と目があっても視線をそらさない。ここは振り返って美咲に手をふった。


「送ってくれてありがとね。仕事頑張ってね」


背を向けたここを引き寄せる。バランスを崩したここを抱きとめて、最後にもう一度口づけた。

人が見てると分かっていても、衝動が止められなかった。
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