俺様とネコ女
「あいつ明日誕生日なんだ」

「そうなんだ。会うの?」

「ああ」

溜息から一転して、笑顔の直哉が不快だ。


「女の子のことで悩んでるお前見るのはじめてで楽しい。お前イジれるとか、後にも先にも今だけかも」

「いじるな楽しむな」

「プレゼントは?用意してるんだろ?」

「何か物をあげるべきなのか?」

「言葉にできないなら、せめて物で愛情表現しろよ」


確かに。一理ある。

そもそも俺は、記念日とか、イベントに疎い。むしろアンチだ。そんなもの祝ってどうするんだという考えだ。

「こころちゃん喜ぶぞ」


あいつが喜ぶ顔は見たい。いつも俺を笑わせるあいつが笑顔になるなら。誕生日を祝ってやりたい。

「おい。買い物付き合え」

「付き合ってくださいだろ。俺に素直に言えないようじゃ、こころちゃんにも言えないな」

「付き合え」

「命令か」

「…頼む」

「そうそう。素直になりなよ。コウくん」


覚えとけ。と睨みつけるが、直哉の指南はありがたい。食後、ここへのプレゼントを買いに行くことになった。
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