俺様とネコ女
「こころちゃん、何か欲しいものあるって言ってた?」

「…車?」

先日の会話を思い出す。まさかの高額物件に、直哉がさすが!と声を上げ笑う。


「あいつが今まで誰にも貰ったことがないようなものを贈りたい」

そう。恐らく恋愛経験豊富で、俺じゃない男が、心の中にいるあいつに。


「それって結婚指輪レベルなんじゃない?いっそのことプロポーズしろよ」

「黙れ」


ここの出現により、自分がどんどん変わっていくのがわかる。

冷たい。思ってたのと違った。本当に仕事?私のことどう思ってる?私のこと好き?好きって言って。


過去付き合った女のNGワードだ。付き合ってほしいと言われて付き合ったのに、いつも決まって問われ、その瞬間関係が終わる。


睡眠時間を削ってまで、会いたいと思う女はあいつだけだ。抱きたい。大切にしたい。笑顔にしたい。独占したい。俺のものにしたい。


あいつだけは、自分から欲しいと思うから。
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