俺様とネコ女
ましてや家につれて帰るなんて前代未聞だ。俺のテリトリーには誰1人女を入れたことはない。


「おい歩け」

マンションに着く直前女を起こす。女はうっすら目を開け、おぼつかない足取りでタクシーから降りた。

ろくに歩けない女の腰を抱える。若干の酒臭さと、ふわり、甘い香りが鼻を掠めた。


「ここどこ?」

「俺の家」

「そっかあ」

絶対分かってないだろ。女を抱えたまま、マンションのオートロックを解除しエレベーターに乗り込んだ。途端、俺に体を預けてきた。


「おい」

「ん、抱っこして?」

「抱っこじゃねえよ」

エレベーターのドアが開き、降りるために抱き上げた。

女は首に細い腕を絡ませてきて、耳元でふふふと笑う。ふ、と女の息が耳をかすめ、咄嗟に理性の存在を確かめる。
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