俺様とネコ女
10時にマンションのエントランス前。約束時間ちょうどにコウが現れた。

コウの私服姿はずるい。 全身黒なのに重くない。お洒落だ。飛びつきたい。


「上がっていく?」

「いや。路駐だから、ちょっと歩く」

「コウ今日の服すごく似合ってる。黒かっこいい、私も黒好き」

「お前の下着も黒が多いしな」

「もうコウくんえっち」


コウは、私のことをよくわかってくれている。まだ出会って1ヶ月程だというのに、すごく居心地がいい。

そんな短い付き合いだなんて思えない。

「どこ行きたいか決めたか」

「ウザいって言わないでくれる?」

「さあ」

「ちょっと。そこは"言わない"でしょ」

「・・・・」

「言わない?」

「たぶん」

「コウが、私と行きたいと思うところに行きたい」
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