俺様とネコ女
「あ!」


会えなかった間のエピソードを一方的に報告していて、村上教授とのツーショを思いだした。

うるせえよ。なんだよと睨みつけるコウをなだめて、鞄からスマホを取り出し、写真フォルダを開く。


「見て!」

「見れるかよ。運転中だ」

「信号まだ?待てない」

「待て」


こういう時に限って信号は進めだ。イライラそわそわする私に、短気なネコだと呆れるコウ。


「どっちが短気よ」

「お前だろ」

「そっちだよ」

いつもの言い合いが久しぶりで楽しい。会えない間、コウが足りなかった。持っていたスマホを取り上げられ、赤信号で止まったことに気づいた。


「おお、村上」

「コウは仕事頑張ってるって言ったら喜んでた。感謝してるって、ちゃんと伝えたよ」

「そんなことより、お前、距離近すぎん?」


ポン、と投げられたスマホが、膝の上に戻ってきた。わあ。コウ、そんなこと言うんだ。 まるで、やきもち焼きの彼氏みたい。

「なんだ、そのだらしない笑顔」

冷ややかな視線も、どうってことない。 そんなこと言われても平気。

絶対楽しい1日になる予感。
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