俺様とネコ女
「コウが一番好きなアメドラは?」

「…警察官が殺人鬼のやつ」

「うわ、なになにどうした?心に闇抱えてる?」

「違うわ。好きかどうかは別として、あれが一番印象に残ってる」

「わかるわかる!わたしもあれ好きだよ。強烈だった」

「ああ、でもあれか。ベタだけど、25のシーズンワン。あのラストには、思わず声が出た」

「だよね!私はびっくりしすぎて呼吸を忘れた。コウでも驚くことあるんだ」

「お前俺をなんだと思ってる」

俺の家に向かう車のなかで、海外ドラマや映画の話だけで盛り上がった。やっぱり、こことは趣味があう。


「コウとは相当気が合うね」


嬉しそうな横顔に誘われた。信号待ちのタイミング、俺の視線に気づいたここが、こっちを向いた瞬間。

ここを引き寄せ、キスをした。曇りなく笑うここが可愛くて。こんなに楽しい気持ちになるのは、ここといるときだけだ。無性にしたくなった。

ぽかんとして、照れ笑いを浮かべて、それから、にっこり笑ったここ。


「コウ、不意打ちが多いよね」

「そうか?」

「うん。ドキドキさせないでよ」

「しろ」


俺のことしか考えられなくなればいい。
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