俺様とネコ女
マグカップを2つ、ローテーブルに置いて、ソファーに座った。

「どけ」

座っている私をひょいと持ち上げ、コウが座る。コウの足の間に座らされて、後ろからすっぽり抱きしめられた。

手元のリモコンを操作して、何食わぬ顔で動画を見ようとしている。


「見る気ある?」

ドッキドキなんですけど、私。こんなかっこうじゃ、集中できないんだけど。


「見るよ?」

もう!耳元でささやかないで!


「普通に座ってよ」

「普通だろ」

普通じゃない。全然普通じゃない。

女の扱いに慣れているのがイヤ。いつも私だけこんなにドキドキして、動揺して。コウは眉の一つも動かさない。

コウに優しく包まれながら。

妄想の中で、コウの過去の相手に嫉妬している私って、そうとう痛い女。自覚はあるけど止まらない。

こんなに好きなのに、常に付きまとう不安の所為。
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