俺様とネコ女
「何泣いてんだよ」


やだ。コウ来ないで。


「好きって何?お前、好きとかより戻そうとか言われてうれしくて泣いてんの?」

「違う!」


さっきの聞かれてたんだ。 違うよ。涙は祐樹は関係ない。好きって、コウのことだよ。

でも言えない。コウに言ったら、私たち、終わりでしょ?


「俺の前で他の男を想って泣くな」

「違うの」

「何がだよ」


玄関で、携帯を握りしめ、コウに追いつめられる。

冷たい瞳。感情を一切排除した、何も語らない表情。こんなコウ、見たことない。


「おい」

「いやっ」

腕を掴まれ、力いっぱい振り払ってしまう。

もうだめ。


「私はコウが好きなの!祐樹のことなんかどうでもいい!私はコウしか考えられない!」


最悪!

なんて酷い告白をしてしまったんだろう。


いつも、ギリギリのラインで保っていた気持ちが、こんな形であふれ出てしまった。
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