俺様とネコ女
完璧な容姿のコウに言われると、恥ずかしくて仕方ない。

わざと、コウをじっと見つめて言い返す。


「コウ、かっこいい」

「・・・・」

「照れてよ」

「あ?」


マスターは、私の好みを知ってか知らずか、好きなものばかり出してくれた。

つまみ系メインで、ちょっとづつ箸をつけながら、美味しいお酒を楽しむ。

隣にはコウ。

ああ、幸せだ。


突然、店内の照明が落ちた。


「え、やだ。真っ暗怖い」

プチパニックの私をコウが鼻で笑う。それなのに、しっかりと手をつないでくれて、指先から安堵する。


「誕生日おめでとう!」

バースディソングとともに、マスターがホールケーキを運んできてくれた。キャンドルの本数まで確認する余裕はない。

店内に居合わせたお客さんも、歌ってくれて、拍手してくれて恥ずかしい。嬉しいけど照れくさい。


炎を吹き消して、店内に明かりが戻りほっとしたら、こみあげてくる笑いが堪えきれず、爆笑してしまった。
< 246 / 337 >

この作品をシェア

pagetop