俺様とネコ女
「山本主任、今日も契約直前で破談になった」

「そうなんだ。じゃあ落ち込んじゃったよね。ますます言えなくなったね」

「ああ。だからまだ、会社の奴らに言うなよ」

「うん。ねえ、こんなこと言ったらあれなんだけど、山本主任、夏には東京本社でしょ?」

「ああ」

「それなら、言わなくてもいいんじゃない?」

「それはだめだ。あんなだけど先輩だから。ちゃんとしたい」


ここが腕の中で、嬉しそうに目を細める。


「コウって意外と優しいよね。立ち直れないくらいどん底に突き落としても平気そうなのに」

「お前、俺のことなんだと思ってるんだ」

「…鬼畜?」


クルリ、寝返りを打って背を向けたここに、力を加減してヘッドロックだ。


「ギブ!」

自分の頭に回った俺の腕を掴んで、そのまま手を添え、再び寝返り身体を対面させる。「男らしい」そう言って、足を絡めてくる。

「惚れ直したか」

「うん」

ことごとく甘えてくるその仕草に、応えてしまう。頭を撫で、唇を落とす。


沸き起こる幸福感を噛みしめながら、眠りについた。
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