俺様とネコ女
2.こころside
「お帰りなさいっ!コウ、おめでとう!」
「旅行行くぞ。計画立てろ」
「やった!リクエストある?」
「美味い酒、ドライブ、部屋に露天風呂」
「わお!露天風呂贅沢!ご褒美旅行だね」
「別に」
「了解!」
コウの快挙は、瞬く間に社内中に知れ渡った。
昼休憩に社員食堂で吉報を聞いた私は、胸がいっぱいでAランチを残してしまった。
近県を代表する大手ゼネコン、早瀬コーポレーションとの契約が決まったのだ。
ランチタイムだけじゃない。今日1日、社内はその話題でもちきりだった。
コウはこの日1課の人たちと祝賀会で、帰ってきたのは3時前だった。
遅くなるから先に寝とけと連絡をもらっていたけど、一言お祝いを言いたくて起きていた私に、帰ってくるなりこんな提案をしてきた。
——のは、2週間前。翌日には手配完了。
旅行代理店からスカウト来るんじゃないかってほど、スピード対応の私。
現在、コウの提示した条件すべてをクリアした高級旅館に、宿泊中である。