俺様とネコ女
早速露天風呂を満喫して(いろんな意味で)、早めの夕食をいただいた。

旅館貸し出しの浴衣を着付けしてもらって、カラコロと、下駄を鳴らしながら付近を散策。夕暮れの温泉街は、情緒溢れていて、浴衣姿のコウは国宝級に美しかった。

彼氏をなんとか盗撮しようと励むかわいそうな彼女を見かねた心優しいカップルが、頼んでもないのに「撮りますよ」と声をかけてくれたので、初めてのツーショット画像を手に入れた。

やば。とりあえず美咲に送信。と。


部屋に戻り、肉食獣に捕食されるという、なんとも堪らないシチュエーションを楽しんでいる真っ最中だ。


「和室ってえっちくない?布団二組敷いてあって、どうぞ、心ゆくまでやっちゃってくださいませって言われてるみたい」

「エロネコ。何妄想してんだよ」

「えー、楽しいじゃん。もったいないよ。せっかくの」

「しゃべるな。歯が当たる」


キスの最中だというのに、楽しくて喋りまくった結果怒られた。それにもめげず、にかっと笑って、コツン、前歯同士をぶつけてやった。

だって。楽しんだもん。ムードも大事だけど。ね。

襟元の合わせから差し入れられた手がせっかちだ。
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