俺様とネコ女
くっつけて敷かれた布団の足元で、立ったまま帯に手をかけるコウ。「どうなってんだ」って言うくせに、簡単に帯をほどかれ布団に押し倒された。

パリ、と糊がきいたシーツが、私たちが動くたび、シュ、シュ、と音を立てる。

ほぼ全開の浴衣を、全部脱がしてしまわないあたり、コウも男だな。


「おい。何笑ってんだよ」

「え、顔に出てた?」

「ふざけんな。萎える」

「ん、ごめん」


ごろんと仰向けに寝転がったコウの上に体を乗せる。コウの浴衣も合わせが乱れて、鎖骨が艶かしい。


「このシチュエーションが楽しくて、笑っちゃうの」

「色気ねえ女」

「どうせ私はガキですよ。コウはさぞゴージャスな大人の女を抱きまくってたんでしょ!」


ほんの10センチの距離で、微笑を口角に浮かべるコウ。なによ!

両手を腕立て伏せのように突っ張って、立ち上がろうとしたところを、肘の関節をカクンとされてコウの上に倒れこむ。


「やめてよ!」


両腕が背中に回る。くくくと笑いを堪えているのが直に伝わってくる。
< 257 / 337 >

この作品をシェア

pagetop