俺様とネコ女
「かわいい」

「もう。バカにしないでよ」

「してねえよ」


じたばた暴れても、無駄な抵抗だった。あっという間に形勢逆転。簡単にマウントを取られて、両腕を抑え込まれてキスをされたら、大人しくなるしかなかった。


「んっ」


私のくだらない嫉妬は、一瞬で、吹き飛んだ。


心ゆくまで。を実践した。




「夜の露天風呂って、昼間と全然違うね」

「ああ」

布団で寝落ちしてたら起こされて、お風呂に連れていかれた。


後ろから抱かれて、コウに体を預けていると、また寝てしまいそうだ。はあ、気持ちいい。

体の向きを変えると、ちゃぷんちゃぷんと熱めのお湯が跳ねる。コウの膝に乗って、コアラの体勢だ。


「明日の朝は大浴場に行ってみようね」

「ああ」

「コウって仕事大好きだよね」

「話急変かよ。仕事は好きだ」

「仕事頑張ってるコウは本当に素敵。かっこよくて憧れる」

「へえ」

「契約おめでとう。本当にお疲れさまでした」


コウが僅かに目を逸らす。小さく舌打ちして、目線は戻ってこない。

わあ。もしかして、今、照れた?
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