俺様とネコ女
心の中にぽっと火が付いたみたいに、温かくなった。

かわいくて、愛しくて、抱きつきながら抱きしめて、無抵抗なコウに、好き放題キスをする。唇を押し当てるだけの、子供みたいなキス。


「我社のエースの彼女の名に恥じないようにならなきゃ。まあ、現段階では秘密の関係だけど」

意気込む私にニヤリ顔だ。まあ頑張れよって、きっとコウなりに激励してくれているはず。たぶん。


「仕事がんばる。できる秘書になるから。期待してて。赤澤先輩」

「がんばれば、お前はなれるだろ」

「またまた。お世辞はいいから」

「お世辞なんか言わねえよ」

コウが真顔で言うから、嬉しくて、照れくさい。


「悪かったな。毎日帰り遅かったし休日も出勤で。でももう落ち着くから」

「ううん。でもよかった体壊さなくて。働きづくめだから心配だった」

「そんな軟弱じゃねえよ」

コウの指が伸びてきた。頭の上に置かれた手が温かい。そのぬくもりを手に取って、しっかりと、両手で包む。
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