俺様とネコ女
「私、コウのこと本当に好きなの」
「うん」
「コウほど好きになった人、いないの」
「うん」
「旅行に行ったとき、コウが愛してるって言ってくれたの。死ぬほど嬉しかった」
「うん」
「コウ、どうすると思う?付き合ってまだ日も浅いでしょ?きっぱり振られるかな?それとも、もしかしたら、帰ってくるまで待っとけって言ってくれるかな」
直哉さんは一切意見を口にせず、相槌を打つ。不安な気持ちを吐露する私を、黙って、ただずっと、聞いてくれていた。
「遠恋してもうまくいかないかもしれない。コウは連絡不精だし、それに東京にはきれいな人いくらでもいるでしょ?不安や不満ばかり口にして、喧嘩になって、結局捨てられて、コウを忘れられないまま年をとっていくの?わたしは別れたくない。もう一生、こんなに好きになれる人なんてできない」
人目もはばからず号泣していた。
直哉さんは、背中を撫でてくれる。大きな手が温かい。