俺様とネコ女
「褒められることはあっても呼び出されて咎められるようなことは… 全然心当たりがないです」

「お前の場合はそうだろうな」

「俺、やばいんですかね」

「こころちゃんがあんな神妙な顔してたからなあ」

あー、うー、と唸る主任の目が泳ぐ。


「フォローしてくださいよ」

「ドンマイ」

「見捨てたなおい」

「そ、そんなわけないだろ。ははは」


クソッ。呼び出されたのはしょうがない。なるようになる。


そんなことより、クライアントに連絡だ。9時半まで、まだ少し時間はあるが、終わるまで外に出られない。

いつ終わるのかは、もちろん謎だ。せっかく組んだ訪問予定が狂う。


午前中アポを取っていた会社に断りの電話を入れながら、はっとした。



ここは俺が専務に呼び出されることを知っていた。恐らく先月の役員会で。

俺に言えず、1人苦しみ、悩んでいたのではないか。
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