俺様とネコ女
重い腰を上げ1課に戻ると、室内が騒然としていた。


「赤澤!おめでとう!」


俺の姿を見るなり、飛んできた主任に両肩をバシバシ叩かれる。痛てえよおい。


営業課長宛に人事部長から電話があったらしく、もう1課の全員が俺の異動を知っていた。

「がんばれよ!今年は俺だと思ってたけど、お前なら仕方ないわ。来年行くから、それまで待っとけ!」


後輩に先を越されて悔しいはずなのに、主任は上辺じゃなく、心底嬉しそうに笑い激励してくれる。これだから、熱くてウザい男だけど、怪力で声がでかいけど、嫌いじゃないんだ。


「なんかすいません」

「何謝ってんだよ。おい。今日は赤澤のご栄転を祝って飲みに行こう」

「あー。いや、今日は予定があるんでまたにしてもらえます?」


ここと話をしなければならない。


待て。ここになんて言う?


俺たち二人の、これからのこと。


俺はどうしたい?



どうするべきなんだ。
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