俺様とネコ女
「課長、例えばなんですけど、付き合いだして２・３ヶ月の恋人が転勤で遠くに行くとしたら、課長はどうしますか？別れますか？遠恋しますか？ついて行きますか？」

どうだろう、と課長がつぶやく。


「難しいな。彼はなんて言ってるの？」

「まだなにも」

「上野ちゃんはどうしたいの？」

「どうしたいかはハッキリしてるんです。でも、」


続きが言えないでいると、そっか、と少し首をかしげて微笑む課長。上野ちゃん。と優しい声で呼ばれる。語りかけるみたいに。


「彼としっかり話し合って。自分の気持ちを伝えて、彼の考えも聞いてあげて。いい？絶対、納得行くまで話し合って」

「課長…」

「はい。気持ち切り替えて。上野ちゃん、ひとまずお昼がっつり食べなさい。お肌の艶がなくなるわよ。で、昼からちゃんと仕事して。今夜話すの？」

「わかりません。でも、そうなると思います」

「覚悟を決めて！上野ちゃんなら大丈夫」

「がんばります。ありがとうございます」


覚悟を決めたつもりだったけれど、不安定だった。それが、確かなものへと変化したのを感じた。

課長、ありがとうございます。私はいい上司に恵まれました。後悔しないように、しっかり話し合います。
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