俺様とネコ女
電車組のみんなと別れて、バスに向かいながらスマホを取り出す。

定時は過ぎてるけど、今日ももちろんコウの帰りは遅いよね。


”今日何時になりそう?”


連絡をしたら、すぐ電話がかかってきた。


『お前、文章理解力ねぇな。駐車場で待てるって見なかった?』

「見たけど、でも」

『早く来い。待たせるな』


え。切られた。コウ、いつもの俺様キャラだ。急な本社異動を言い渡されても、動じないわけ?


ふつふつと、お腹のちょっと上のほうから、笑いが込み上げる。

ウジウジしてないで、私らしく行こう!


駐車場から出庫する車が列をなしていた。自分の車を目指す社員も多く、その中で私一人、きょろきょろとコウの黒いワゴンを探す。

もう人目を気にせず、コウの車に乗り込んだ。コウはどうせ東京だし、噂になっても構わない。


「遅せえよ」


ハンドルの上で腕を組んで、顔だけこっちを向けて睨みつけられる。

ちょっと待って。おかしくない?
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