俺様とネコ女
「ここ。結婚しよう」
けっ…こん?
コウの手の中にある小箱に収められているものは、どう見ても指輪で。
息もつけないほど驚いて、腰が抜けて動けない。
ソファーに座ったまま、コウをただただ見つめていると、大粒の涙が、眼鏡のレンズに零れ落ちた。
それを見て、笑って眼鏡を外してくれた。
「おい」
はっとした。でも気が動転して言葉が見つからない。
「何とか言えよ」
「・・・ほんとに?」
「この状況で冗談言えるか」
「私たち、知り合ってまだ3ヶ月だよ?」
「だから?」
「私見た目と違うよ?」
「ああ、そこがいい」
「ひきこもるよ?」
「付き合ってやる」
「ヤバいくらいコウのこと好きだよ?」
「知ってる」
「ウザいって言われてもそばにいるよ?」
「ああ」
「…言わないとは言わないんだね」
「うぜえ」
「おい」
「一回しか言わないからよく聞いとけ。お前とは知り合って3か月と思えないぐらい、昔からずっと一緒にいる気がする。見た目どおりの美人なだけの女なら相手にしてない。俺もどうしようもないくらいお前が好きだ。ウザいって言われてもそばにいる。まあ言わせないけど」
コウは一気にしゃべって、呼吸を整えるように、小さく息を吐いた。
「ここ。お前は俺とじゃなきゃ幸せになれない。お前は俺のそばにいろ」