俺様とネコ女
「何様?」


感動して、嬉しくて、涙が止まらないくせに、コウらしさ全開の俺様発言に笑う。

コウは顔色一つ変えず、私の目を、じっと見つめたまま言葉を紡ぐ。


「お前がいないと生きていけないのは俺もだから。ずっと一緒にいよう」


射るような言葉。

じりじりと、焼けるように胸が熱い。


「返事は?」

「はい。…嬉しい!」


それからすべてが、スローモーションに見えた。

コウが小箱から指輪を取り出した。泣き笑う私の左手を取り、薬指に、はめてくれた。


隣に戻ってきたコウに、ひょいと持ち上げられ、向かい合って膝の上に座らされた。コウを抱きしめて、何度も何度もキスをした。嬉しくて嬉しくて、感情を抑えられない。


「ここ」

低いその声は、耳だけじゃなく、私の心に、体中に響く。


「俺がお前を幸せにする」

「わたしが。私がコウを幸せにする」

「クソ生意気なネコ」


フッ、飽きれたように笑うその顔は、目じりを下げ、優しい表情を見せた。


「コウ」

私の愛しい人。


「コウ、愛してる」


この人に出会えて、本当によかった。
< 307 / 337 >

この作品をシェア

pagetop