俺様とネコ女
好き放題やりたい放題のキスを、文句も言わず受け入れてくれた。

最後に一回。んー、と唇を押し付け離すと、閉じられていた瞼がうっすら開く。


裸眼でも、黒目を縁取るコンタクトがはっきり見える距離。


口紅が色移りした唇を、人差し指でなぞった。柔らかくて、弾力があって、色っぽい。


切れ長の、大きな瞳に魅せられて、フリーズした人差し指を甘噛みされる。

ひっこめようとするとつかまれ、口元に運ばれる。手の甲に、唇が押し当てられた。

薬指で輝くダイヤモンドが、コウの瞳に重なって、涙みたいで、胸が苦しくなるくらい、綺麗だった。

優しく包まれるように抱き寄せられたかと思うと、不意に力が強くなって、そのまま、動かなくなった。

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