俺様とネコ女

「コウ?」

耳元で、「ん?」と湿った声が聞こえる。


「ね。どうかした?」

「黙れ」


痛いって。コウの両腕に押さえ込まれてる腕が、ギシギシ音鳴りそう。

表情を確認したくて頭を動かすと、後頭部に手が添えられ、それさえも封じられる。


「動くな」

力は緩められる気配もないし、ほんと、どうしたの?

混乱するわ動けないわで、しばらく固まっていた。一体どうしたんだろう。


「悪い、もうちょっと、このまま」


もしかして...もしかして、甘えてる?わー。なにこの破壊力!

心臓が異常に動きすぎちゃって壊れる!


「断られなくて、ほっとした」

いつだって俺様で、大人の余裕醸し出してて、弱みなんて、これっぽっちも見せないくせに。

どうしてここぞというタイミングで、見せてくるかなあ。愛しくて愛しくて、どうしたらいいかわかんない。

わかんないから、コウが本気のキスをしてくるまでの間。ううん、してる間も。



ずっとずっと、強く抱きあっていた。
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