俺様とネコ女
店内はほぼ満席で、かなり混んでいた。コウの定位置が空いているかどうかの確認作業中、企画課の笹山さんが目に入る。女連れで来ていた。
向こうも私とコウに気付き露骨に眉をしかめる。背中に敵意のようなものを受けつつ、無事空いていた、カウンター右端の定位置に座った。
「いらっしゃい。いつもの生ね」
顎ひげマスターは忙しいようで、ロングカクテルを作りながら、ホールを見回している。コウは頷いただけで、すぐ私に視線を戻した。
「コウ、あそこ企画の、」
「ああ」
振り返りもせず、さほど興味なさそうな相槌。
「そう言えばコウ知ってる?私が直哉さんに居酒屋で振られた噂」
「リアルタイムで山本主任から情報入ってた。笹山さんからしたら、お前はもう男替えた最低女ってところか」
「あの人企画と秘書課で飲んだ時、口説きがエグかった」
あいつか。と舌打ちをしたところに、ビールが運ばれてきた。よく冷えたグラスを手に、視線を交わし合う。"何に"なんて言わない。
軽くグラスを合わて、初めて乾杯をした。
向こうも私とコウに気付き露骨に眉をしかめる。背中に敵意のようなものを受けつつ、無事空いていた、カウンター右端の定位置に座った。
「いらっしゃい。いつもの生ね」
顎ひげマスターは忙しいようで、ロングカクテルを作りながら、ホールを見回している。コウは頷いただけで、すぐ私に視線を戻した。
「コウ、あそこ企画の、」
「ああ」
振り返りもせず、さほど興味なさそうな相槌。
「そう言えばコウ知ってる?私が直哉さんに居酒屋で振られた噂」
「リアルタイムで山本主任から情報入ってた。笹山さんからしたら、お前はもう男替えた最低女ってところか」
「あの人企画と秘書課で飲んだ時、口説きがエグかった」
あいつか。と舌打ちをしたところに、ビールが運ばれてきた。よく冷えたグラスを手に、視線を交わし合う。"何に"なんて言わない。
軽くグラスを合わて、初めて乾杯をした。