俺様とネコ女
起こさないようにと、静かにベッドから降りようとしたら、左腕を掴まれた。こいつ、起きてたのか?

「おはよ。ね、もうちょっと寝ようよ」

鼻にかかる、妙に色気を含んだ寝起きの声は、昨日の行為を再度思い出させた。


「起きろ」

「やだー、寝ようよ」

腕を掴んで起こそうとすると、逆に懐にスッと体を滑り込ませる。


「お前マジでネコ?じゃれすぎだろ」

「ネコ?ネコ好き?」

「全然」


俺の腕の中から見上げてくる大きな瞳。好きなんでしょ?と問うような眼差しは、憎らしいまでに俺を挑発する。

思い通りに操れない女。起こさないつもりが起きていて、起きろと言えば寝ようと言う。離れるつもりがじゃれてきて。

気付けばここに唇を重ねていた。



逃がさないよう後頭部に手を添えて、愛撫のようなキスをする。艶かしいリップ音と漏れる声。

心臓が、身体が燃えるように熱い。

夢中でキスを交わした。やめたくない。終わらせたくない。ずっとしていたい。
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