俺様とネコ女
「お前は言え」

「自分は言わないくせに理不尽でしょ。それにミステリアスな女のほうが興味わくでしょ?」

「別に」

「あーもう。語彙少なすぎるよね。日本語の勉強したら?あと、コミュニケーション術も学びなよ」

「お前はもっと謙虚さを身につけろ」

「謙虚じゃん」

「どこがだ」


あっという間に駅に着いてしまった。あっけないくらい早く、別れのとき。コウは慣れた手つきでハザードをつけ、駅前のロータリーに路上駐車した。

パーキングスペースじゃなくて路駐ということは、長くいるつもりがないってことだ。


どうしよう。考えをまとめる暇がなかった。どうやって誘う?なんて言えば、また、会ってもらえる?

今言わずに、メッセージする?電話する?でも、無視されたら終わっちゃう。


瞬時に考え出した結論は、至ってストレートな言葉だった。
< 52 / 337 >

この作品をシェア

pagetop