俺様とネコ女
「金曜あれからどうなった?」

「別に」

「別にじゃないだろ。女優かモデルかってくらい可愛かったな」

「・・・まあ、な」

「気取ってなくてフランクで、お前が睨んでも怯まない子初めて見た。見た目とのギャップ凄かったな」


直哉は今日もいい笑顔だ。俺の作り笑いとは比にならない。水色のチェックのネクタイ効果か。爽やかだ。


「お前が女の子の誘いにのるなんてマジで驚いた。なあ言えよ。お前潰されるわけないよな」

「当たり前だろ」


え?マジ?それで?と、狭い箱の中で詰め寄られてうんざりだ。興味津々で目を輝かしている。朝から面倒なヤツだ。勘弁してくれ。


「何時まで飲んでた?俺が帰ったの10時くらいだったよな」

「終電はなかった」

「は?」

「おい、3階だぞ。降りろ」

「おい!電車なくてどうしたんだよ!帰ったのか?気になるだろ!」


3階に着いて扉が開いたので、抵抗する背中を押して無理やり降ろした。直哉を押し出すことで、追及から逃れた。

俺が付き合ってる女としかヤらないって、あいつは知ってる。

だから、あいつに知られたくない。
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