俺様とネコ女
7が赤に変わり、ぽーんと音が鳴った。

扉が開ききるまでが待てず、すり抜けるように箱から出た。まだ誰もいないフロアは、今朝も静まり返っている。


ここ7階には、営業1課と秘書課がある。このフロアで誰よりも早く出社して、納得行くまで仕事をするため、帰宅も遅い。


―営業1課―

俺はこの部署で一番の下っ端だ。下っ端故の雑用も多く、鬱陶しいと感じることも少なくないが、なにより仕事が面白い。

営業1課は法人営業に特化した、数ある営業課の中でも1番の花形部署だと言われている。

今まで取引のない新規企業相手に、省エネ・省コスト商品の提案と販売をするのが主な仕事内容だ。

今、大きな案件を抱えていて、毎日が忙しい。忙しいが、充実している。


その大口のクライアントは、県内トップの大手優良企業だ。

この契約が獲れれば、間違いなくここ数年で一番の大口契約だ。俺が、獲れないわけがない。


デスクでノートパソコンを開き、まだ真っ暗なモニターに映った自分と目が合う。


今週末は、あいつに会える。
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