俺様とネコ女

翌日。

同じ営業1課の山本主任が大騒ぎだ。出社してくるなり、興奮気味に声を荒げている。


「赤澤!聞いたか?今年は秘書課に5年ぶりに新人が配属されるらしいぞ!」


朝っぱらから大声でウザい。暑苦しい。山本正太郎主任は、柔道で鍛えたガッチリ体型で、性格も根っからの体育会系だ。

飲みすぎで腹が出てきたことと、彼女いない歴が順調に伸びているのが最近の悩みだ。

入社9年目の先輩で、年齢が一番近いということもあり、仕事でもペアを組むことが多い。


「おはようございます。初耳ですね」

「そりゃそうだろう。さっき人事部の同期から聞いたんだ。とんでもない美人らしいぞ!北山景子似って話だ」

「秘書課ってことは隣の部屋ですね」


ノリを合わせて興味あるふりだ。騒いでないで仕事しろ。だが、残念ながら、興奮状態の山本主任の雑談は終わる気配がない。


「そうだ。お隣さんだ。しかもお前知らないだろうけど、秘書課に新人が入ったらここにも挨拶にくるぞ」

「へー。そうなんですか」


心底どうでもいい。興味がない。
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