俺様とネコ女
午前9時。クライアントから電話がかかってきた。

会社支給のスマホを左耳にあて肩で挟み、メモアプリに電話の内容を打ち込んでいたところに、部屋のノック音が聞こえ無意識にドアに目をやる。


秘書課の加藤課長(34歳独身女)と、隣に女性が立っていたのだが。


思わずスマホを落としそうになった。



わが目を疑った。



「おはようございます。お忙しいところ失礼致します。秘書課に配属になりました、上野こころと申します。1日も早く仕事を覚えて、会社に貢献できるようにがんばります。一生懸命がんばりますので、どうぞよろしくお願いいたします」


呆然と見つめる俺の隣で、山本主任が急に立ち上がって大げさに拍手をした。

それを見たここが俺に気付き、目と目が合った。あっ、と小さく驚いた表情を見せた。

それからすぐ、ここは小さく会釈をして、課長に連れられ部屋を出た。


俺としたことが、動揺しすぎた。
< 62 / 337 >

この作品をシェア

pagetop