俺様とネコ女
そこで隣の席の加藤課長から、仕事内容について説明を受けた。課長のノーパソの画面に、一日のタイムスケジュールを表示させて。


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09:00 役員会議

09:30 移動

10:00 企業懇親会 (ふたば銀行本店)

12:00 会食 (ふたば銀行頭取)


16:30 各部長合同会議

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水色のテンプレートが見やすくて簡潔。


「これが今日の専務の行動。こんな感じ。今日は時間に余裕があるね」

サラリと済まされすぎて、正直よくわかんない。


「聞くだけじゃわかんないよね。やりながら覚えようね」


加藤課長はきれいな人で。メイクもネイルも完璧で、緩く巻かれた髪の毛の先まで手入れが行き届いてる。

意地悪さは微塵もなくて、優しくていい人そう。だけど、うわべだけじゃそんなのわかんない。と、過去の経験が警戒しろと合図を送ってくる。


「とりあえず仕事はしながら覚えるとして。隣の営業1課に挨拶行こうか。通称”1課”、わが社のエリート集団なの。とにかく、新規取引先を増やすためだけの部署」

「はい。よろしくお願いします」


礼儀正しく、控えめに。素を出さない。

身を守るために身につけた処世術だ。
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