俺様とネコ女
午後からも訪問予定がびっしりと詰まっていたので、早めに食べて、ずっと居座ろうとしていた山本主任を引っ張って社食を出て、1課に戻っていた。


「金曜日、楽しみだな」

「あー、ですね」

「こころちゃん、酒飲めないんだって。ぽいよな」

「ですね」

確かに、見た目は酒飲めなさそうだ。それは認める。秘書課スタイルが世界一似合っていた。それも認める。

メイクは控えめ、先日より何トーンも暗くした髪色の、肩より少し長い髪の毛も1つにまとめて、この前より随分大人っぽくみえた。こいつも社会人だ。そう思った。


「なぁ赤澤。こころちゃん、男性経験ゼロっぽいよな。あれ絶対そうだよな」

ありえない。あいつかなり男慣れしてるよ?じゃれて甘えてくる。アノ時の声も身体も仕草にも、正直やられた。認めたくないがかなり欲情した。


「どうでしょうね」

「赤澤、俺こころちゃんがんばってみる」

鼻息荒く宣言した山本主任に少し同情した。あいつはあんたの思っているような女じゃないし、とてもあんたの手に負えない。
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