俺様とネコ女
「でもな、」

デスクに突っ伏して、情けない声を出す山本。

「こころちゃんの人気すごいらしくて、秘書課に合コンのお誘いハンパないらしいんだわ。俺ら前から飲み会しようって言ってたからラッキーだったけど」

「へー、そうなんですか」

「俺は身の程知らずじゃない。わきまえてるつもりだ。どうせ俺は相手にされない」

「どうしたんですか突然」

「俺はお前みたいに男前じゃないしオシャレにも無頓着だ。圧倒的にセンスがない。こころちゃんとは月とすっぽん。美女と野獣。子猫とゴリラだ」

「うまく例えましたね」

「茶化すな!でも負けられない戦いがそこにある!」


山本主任が、バチバチと両手で頬を叩き気合を入れる。その姿に、空回ってくれと念を送る。


あの女。ここは、合コンして気に入った男がいたら素のノリでついていくんだろうか。俺にしたみたいに、ネコのようにじゃれて甘えるんだろうか。男を簡単に手玉に取るんだろうか。

そういう雰囲気になったら、誰とでもヤるんだろうか。そもそも俺とヤったのも、男に振られてヤケクソだっただけか?
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